「通信速度は遅くないのにインターネットが遅い」そんなときは、ping値が高いのかもしれません。
本記事は、オンラインゲームやWeb会議などを行う上で重要視されるping値について解説しています。
ping値の基礎知識から測定方法、数値が高いときの改善方法などについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ping値について知っておきたい3つの基礎知識
ping値は、オンラインゲームやオンライン会議などをストレスなく行う上で、重要な数値です。
ここでは、ping値の重要性を理解するために、ping値について知っておきたい基礎知識について解説していきます。
そもそもping値とは?
ping値とは、PCやスマホなどのデバイスとサーバーとの間で、データを送受信する際にかかる応答時間を表した数値です。
ping値の読み方は、「ピンチ」または「ピングチ」です。
ping値の単位は「ms(ミリ秒)」と表記され、ms(ミリ秒)は1秒の1000分の1です。例えばping値10msは、デバイスとサーバーの往復時間が0.01秒かかることを意味しています。
ping値の数値が高いと、データを送受信する際にタイムラグが発生し、画像がカクカクしたり音声と映像がズレたりする場合があります。
つまり、ping値の数値が低いほどデータの送受信時にタイムラグが発生せず、ストレスなくインターネットができるのです。
インターネット回線速度とping値の違い
インターネット回線速度とは、1秒間に送ることのできるデータの通信量です。
1秒間に送れるデータ量が多いほど、通信速度が速いことを意味します。
インターネットの通信速度には「下り」と「上り」の2つがあり、データの受信にかかる通信速度を「下り(ダウンロード速度)」、データの送信にかかる通信速度を「上り(アップロード速度)」と呼びます。
回線速度の単位は「bps」です。「bps」の初めに「k」「M」「G」のアルファベットが付き、単位の小さいものから順番に「kbps」「Mbps」「Gbps」です。
インターネットの回線速度は数値が大きいほど通信速度が速いことになり、一方でping値は数値が小さいほど応答時間が短く速度が速いことになります。
レイテンシとping値の違い
レイテンシとは、データを送信してから相手に到着するまでの潜伏時間・待ち時間・反応時間を指します。
レイテンシの単位も「ms(ミリ秒)」で表記されます。
レイテンシとping値はどちらも意味合いは似ていますが、レイテンシはデータを送信してから到着するまでの「片道にかかる応答時間」、一方ping値はデータを送受信するときの「往復にかかる応答時間」です。
応答時間は、レイテンシで表示されるケースもあれば、ping値で表示されるケースもあります。
測定サイトでping値やレイテンシを測定する方法について解説
ping値やレイテンシを無料で測定できるサイトには、以下の3つのサイトがあります。
- スピードテスト
- Fast.com
- Speedtest.net
測定サイトごとの特徴やping値やレイテンシを調べる手順について見ていきましょう。
スピードテスト
スピードテストとは、Googleが提供している、デバイスの速度を調べられる測定サイトです。
計測できるデータの応答時間は、ping値ではなくレイテンシで表記されます。
スピードテストで速度を測定する手順は、次の通りです。
- Google検索バーに「スピードテスト」と入力して検索する
- 検索結果の一番上にある「インターネット速度テスト」の「速度テストを実行」をタップ
スピードテストは、以下の項目について、リアルタイムの速度を測定します。
- ダウンロード速度
- アップロード速度
- レイテンシ
デバイスごとに測定が可能なので、スマートフォンの速度が遅い場合はスマートフォンから、PCの速度が遅い場合にはPCから測定してみましょう。
Fast.com
Fast.comはNetflixが提供する、インターネットの通信速度を測定するサイトです。
Fast.comで速度を測定する手順は、次の通りです。
- Fast.comにアクセスする
- 「詳細を表示」をタップ
Fast.comは、以下の項目について、デバイスごとのリアルタイムの速度を測定します。
- ダウンロード速度
- アップロード速度
- レイテンシ
Fast.comも計測できるデータの応答時間は、ping値ではなくレイテンシで表記されます。使い方や測定できる項目はどちらもほぼ同じなので、好きなほうで調べましょう。
測定サイトで確認しておきたい重要な速度について解説
インターネットの速度は、ping値だけでなく、通信速度も重要です。
ここでは、通信速度の単位や下り・上りの通信速度について、詳しく解説していきます。
通信速度の単位
回線速度の単位は、「bps」です。
「bps」の初めに「k」「M」「G」のアルファベットが付き、単位の小さいものから順番に「kbps」「Mbps」「Gbps」となります。
また、単位は次のように変換できます。
- 1kbps=1,000bps
- 1Mbps=1,000kbps
- 1Gbps=1,000Mbps
数値が大きいほど通信速度が速くなります。
ダウンロード速度
ダウンロード速度とはデータを受信するときの通信速度のことで、「下り」とも呼ばれます。
インターネットを使ったWebサイトの検索や動画の視聴、SNSの閲覧、メッセージの受信などは、すべてデータを受信する作業です。Webサイトを検索する際の読み込みに時間がかかったり、動画が途中で止まったりする場合には、ダウンロード速度が遅い可能性があります。
つまりダウンロード速度が速いほど快適にデータ受信が行えるため、インターネットを行う上で特に重要視される速度といえるでしょう。
アップロード速度
アップロード速度とは、データを送信するときの通信速度のことで、「上り」とも呼ばれます。写真をクラウドへアップロードする作業やメールを送信するときの速度です。
また1人で行う作業以外にも、2人以上で通信する作業でもデータの受信が行われています。
例えばSNSやオンラインゲーム、オンライン会議などは、ダウンロード速度だけでなくアップロード速度も重要となります。
作業別|ping値の目安
インターネットで何をするかによって、必要になるping値の目安は変わってきます。
ここでは、以下の項目別に必要なping値の目安を紹介していきます。
- Webサイトの閲覧
- Web会議
- 動画視聴
- オンラインゲーム
それでは、ping値の目安を見ていきましょう。
Webサイトの閲覧
Webサイトを快適に閲覧できるping値の目安は、0ms~50ms程度です。
ただしWebサイトの閲覧自体は、そこまでping値の数値に影響されません。目安の数値を超えても問題なく閲覧できるケースが多いです。
Web会議
Web会議を快適に行うためのping値の目安は0ms~30ms程度、許容範囲の目安は30ms~50msです。
50msを超えてくると、音声が途切れたり画面が正常に映らなかったりするケースもあるため、ビジネスで使用する際は、事前に通信速度だけでなくping値も確認しておくとよいでしょう。
動画視聴
動画視聴を快適に行うためのping値の目安は0ms~30ms程度、許容範囲の目安は30ms~50msです。
50ms以上は、映像が止まるなどの不具合が生じる可能性があるため注意が必要な数値となります。
オンラインゲーム
オンラインゲームは、ゲームの種類によって必要になるping値の目安が大きく変わってきます。
FPS(First Person Shooting)やTPS(Third Person Shooter)、格闘ゲームを快適にプレイする目安は15ms以下です。これらのゲームはアクションが激しく、瞬発力のある操作が求められるため、ping値が最も重要視されるゲームといえるでしょう。
15ms~30ms程度は許容範囲となりプレイ可能ですが、たまにタイムラグが発生することもあります。
30ms以上ではタイムラグが発生するだけでなく、サーバーから落ちるなどの問題が生じる可能性があります。
一方でRPG(ロールプレイングゲーム)、シュミレーションゲーム、育成ゲームなどのその他ジャンルでは、30ms~50ms程度のping値で十分です。
ping値が高いときに試したい5つの改善方法
ping値が高くてレスポンスが遅いときに簡単に試せる方法は、次の3つです。
- ルーターを再起動する
- 有線接続する
- Wi-Fi(ワイファイ)ルーターを変える
再起動や有線接続は比較的簡単に試せる改善方法です。
まずは簡単に試せるものから試し、それでも改善しないようなら機器の買い替えや回線の乗り換えを検討するとよいでしょう。
ルーターを再起動する
ずっと再起動していないまま使い続けたルーターは、サーバーアクセスログが蓄積し、動作が不安定になることもあります。
しばらく再起動していないルーターは、以下の手順で再起動を行いましょう。
- ルーターのコンセントを抜く
- ONU(回線終端装置)のコンセントを抜く
- 5分程度放置する
- ONU(回線終端装置)のコンセントを挿す
- ルーターのコンセントを挿す
ルーターを定期的に再起動することで、本体の放熱とサーバーアクセスログのリセットが簡単に行え、ルーターの一時的な不具合を改善してくれます。
有線接続を利用する
ping値を改善するための簡単な方法は、パソコンを有線接続して使うことです。
Wi-Fi(ワイファイ)接続は場所を選ばずインターネットが使えて便利ですが、電波干渉が起きたり障害物で電波が弱まったりすることで、ping値にも悪影響を与えてしまいます。
一方、有線接続は電波干渉や障害物による電波の影響を受けにくく、ping値を安定させることができます。
パソコンのping値を下げたい場合には、有線接続が最も簡単に試せて効果的な方法といえるでしょう。
Wi-Fi(ワイファイ)ルーターを変える
古いWi-Fi(ワイファイ)ルーターは、ルーターのスペック不足により通信速度やping値に影響を与えます。現在のルーターのスペックによってはWi-Fi(ワイファイ)ルーターを買い替えることで、数値が改善することもあります。
Wi-Fi(ワイファイ)ルーターの通信規格による通信速度の違いは、次の通りです。
| Wi-Fi(ワイファイ)規格 | 通信規格 | 周波数帯 | 最大通信速度 |
| Wi-Fi7 | IEEE802.11be | 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 | 46Gbps |
| Wi-Fi6 | IEEE 802.11aX | 2.4GHz帯/5GHz帯 | 9.6Gbps |
| Wi-Fi5 | IEEE 802.11ac | 5GHz帯 | 6.9Gbps |
| Wi-Fi4 | IEEE 802.11an | 2.4GHz帯/5GHz帯 | 600Mbps |
Wi-Fi(ワイファイ)規格は、「Wi-Fi7」「Wi-Fi6」「Wi-Fi5」「Wi-Fi4」の順番に新しいモデルとなり最大通信速度も速くなります。
現在古いWi-Fi(ワイファイ)規格のルーターを使用しているのであれば、Wi-Fi5以上のルーターに買い替えることで、通信速度が速くなりping値の改善も見込めるでしょう。
まとめ

ping値に関してよくある質問は、次の3つです。
- ping値は低いほうがよいですか?
- ping値はどのくらいが理想ですか?
- ping値が高いときの改善方法は?
それぞれの質問に回答していきます。
ping値は低いほうがよいですか?
ping値とは、デバイスとサーバー間のデータの送受信にかかる応答時間のことで、ping値が低いほど快適に通信が行えます。
ping値の単位は「ms(ミリ秒)」で表記され、数値が小さいほど応答時間が短くタイムラグが発生しにくいことを意味しています。
応答時間が速ければ速いほど快適にデータを送受信できるため、オンラインゲームやWeb会議などを快適に行えるでしょう。
ping値はどのくらいが理想ですか?
快適にインターネットができるping値の目安は、以下のように何を行うかによって変わってきます。
| 作業内容 | 快適に行える目安 | 許容範囲の目安 |
| Webサイトの閲覧 | 0ms~50ms程度 | 50ms~100ms |
| オンライン会議 | 0ms~30ms程度 | 30ms~50ms |
| 動画視聴 | 0ms~30ms程度 | 30ms~50ms |
| オンラインゲーム | FPS・TPS・格闘ゲーム:15ms以下 その他のゲーム:0ms~50ms | FPS・TPS・格闘ゲーム:15ms~30ms以下 その他のゲーム:50ms~100ms |
オンラインゲーム以外の作業は、ping値50ms以下なら許容できる範囲といえます。
オンラインゲームは他の作業に比べてping値が特に重要です。特にFPS・TPS・格闘ゲームは、動きが激しく瞬発的な素早さが要求されるため、ping値が高いと動きがカクつくなどのストレスを感じるでしょう。
ping値が高いときの改善方法は?
ping値が高いときの改善方法は、次の3つです。
- ルーターを再起動する
- 有線接続する
- Wi-Fi(ワイファイ)ルーターを変える
再起動や有線接続は比較的簡単に試せる方法です。
まずは簡単に試せるものから試し、それでも改善しないようなら機器の買い替えや回線の乗り換えも検討するとよいでしょう。
ping値とはインターネットの応答速度
ping値とは、デバイスとサーバー間で、データの送受信にかかる応答時間のことです。応答時間が短いほどインターネットが快適に使えることを意味します。
「オンラインゲームでキャラの動きが悪い」「Web会議で映像と音声がズレている」このような場合には、ping値が高い可能性があります。
そのようなときは、無料でレイテンシを測定できる「スピードテスト」「Fast.com」を確認してみましょう。
また、ping値が高いときの対処法には、以下の3つがあります。
- ルーターを再起動する
- 有線接続する
- Wi-Fi(ワイファイ)ルーターを変える
ルーター再起動や有線接続は簡単に試せる対処法なので、ping値が高いと感じたら試してみてください。
カテゴリから探す