
スマートフォンのテザリング機能は、外出先でもパソコンやタブレットが使える便利な手段ですが、時に「インターネットなし」と表示されてインターネットに接続できないトラブルがまれに発生します。この表示が出ると、せっかくのテザリング機能が使えず非常に困りますよね。
本記事では、テザリングで「インターネットなし」と表示される主な原因を分かりやすく解説し、それぞれの原因に対する具体的な対処法を8通りご紹介します。初心者の方でも実践しやすい内容なので、トラブル解決の参考にしてください。
テザリングで「インターネットなし」と出る7つの原因
スマートフォンのテザリングで「インターネットなし」と出るときの7つの原因について解説します。
①一定時間が経過したため
テザリングは、長時間操作がなかったり通信が行われなかったりすると、自動的に接続が切れることがあります。
スマートフォン側の省電力モードや節電アプリなどが有効になっている場合、「一定時間通信がない=使っていない」と判断され、テザリングが自動的に終了することもあります。
②機器同士の距離が遠い
テザリング中に「インターネットなし」と表示される原因の一つに、テザリングの親機(スマートフォン)と子機(パソコンやタブレット)との距離が離れすぎているという問題があります。
テザリングが使えるのは、一般的に10m程度の距離までとされ、距離が遠くなるにつれて電波が弱まったり、ほかの電波との干渉で接続が不安定になったりします。
③電波が悪い
テザリング中に「インターネットなし」と表示される原因として、テザリングの親機(スマートフォン)自体の電波が悪く、モバイル回線にうまく接続できていないというケースがよくあります。
例えば以下のような状況下では、モバイル回線の電波が不安定になることがあります。
- 地下や建物の奥まった場所にいる
- 山間部や海辺など、電波の届きにくい地域にいる
- 回線が混雑する時間帯に利用している
- 使っている通信会社の電波が届きにくいエリアにいる
④Wi-Fiのパスワードが間違っている
テザリングを利用する際に、「インターネットなし」と表示される原因の一つが、Wi-Fi接続時のパスワード入力ミスです。
スマートフォンのテザリングは、Wi-Fiルーターと同じように「SSID(ネットワーク名)」と「パスワード」によって接続を管理しています。
パスワードが正しく入力されていない場合でも、接続先の端末側ではつながっているように見えることがあるため、気づかずにインターネットが使えない状態になってしまうのです。
⑤データ通信制限がかかっている
テザリング中に「インターネットなし」と表示される原因として、スマートフォンで契約しているモバイル回線のデータ通信量が上限に達し、速度制限がかかっているケースがあります。
テザリング中は、パソコンやタブレットのアプリ・クラウドサービス・動画ストリーミングなどがバックグラウンドで大量のデータ通信を行うことがあり、気づかないうちに容量を使い切ってしまっていることも珍しくありません。
⑥同時接続台数が多い
テザリング中に「インターネットなし」と表示される原因の一つに、テザリングの親機(スマートフォン)に接続している子機(パソコンやタブレット)の台数が多すぎるという問題があります。
テザリングの同時接続上限は機種により異なりますが、5台程度が一般的です。この台数を超えると、新たに接続した端末ではインターネットにアクセスできなくなるだけでなく、すでに接続中の端末の通信も極端に遅くなったり、切断されたりすることがあります。
⑦一時的なシステムエラーが発生している
テザリング中に「インターネットなし」と表示される原因として、デザリングの親機(スマートフォン)子機(パソコンやタブレット)に一時的なシステムエラーや不具合が発生しているケースも考えられます。
端末を長時間使用していたり、バックグラウンドで複数のアプリが動作していたりすると、システムが不安定になり、通信機能に影響が出るためです。さらに、インストールしているアプリの不具合やメモリ不足なども、正常な通信が行えなくなる原因です。
テザリングでインターネットなしと出たときの対処法8選

ここでは、テザリング中に「インターネットなし」と出たときの対処法を8通り紹介します。
①再度インターネット共有をオンにする
テザリング中に「インターネットなし」と表示された場合、まず試してほしい基本的な対処法が、一度テザリング(インターネット共有)をオフにしてから、再度オンにするという方法です。
テザリング設定してから操作せずに一定時間が経過したときは、オフ→オンの操作だけでも、またテザリングできるようになります。
これは、デバイスの仕様上の問題なので、不具合ではなく正常な動きです。
②テザリングの親機(スマートフォン)の近くで使う
テザリングで「インターネットなし」と表示される場合、テザリングの親機(スマートフォン)の近くで子機(パソコンやタブレット)を使用してみましょう。
Wi-Fiの電波は、壁・ドア・家電製品などの障害物に弱く、物理的に離れることで電波が減衰します。
また、マンションやカフェなど、周囲に複数のWi-Fiが飛び交っている環境では、電波干渉も起こりやすく、通信が途切れたり「インターネットなし」と表示されたりする原因になります。
テザリングの親機(スマートフォン)から離れた場所で使っている方は、距離を近づけるだけでも、物理的・環境的な影響を最小限に抑えられるようになり、「インターネットなし」の状態が改善するかもしれません。
③電波状況を確認する
テザリング中に「インターネットなし」と表示されたときは、まずテザリングの親機(スマートフォン)の電波状況を確認しましょう。
子機(パソコンやタブレット)はスマートフォンのインターネット回線を利用しているため、スマートフォンが圏外に近い状態だと、たとえWi-Fi接続はできていても、インターネットが使えません。
地下・山間部・建物の奥などでは電波が不安定になりやすく、知らないうちにモバイル回線が圏外や低速状態になっていることがあります。
スマートフォンのアンテナが何本表示されているか確認して電波が悪いのであれば、場所を変えてテザリングしてみてください。
④再設定する
テザリングで「インターネットなし」と表示された場合、Wi-Fi設定とテザリング設定を再設定することも有効な対処法です。
システムや通信機能になんらかの不具合があると、接続がうまくいかないことがあります。そんなときは一度設定を削除し、再度設定することで、新たに接続環境が構築されて改善する可能性があります。
以下の手順で、デザリングの親機(スマートフォン)と子機(パソコンやタブレット)の両方を再設定しましょう。
子機側のWi-Fi再設定の手順
- 子機側のWi-Fi設定を開く
- SSID一覧から親機のSSIDを削除する
- SSID一覧から親機のSSIDを再度選び、パスワードを入力してWi-Fi設定を完了する
親機側のテザリング再設定の手順
- 親機のテザリング設定をオフにする
- 親機のテザリング設定をオンに
設定方法や名称は、機種やバージョンによって異なるため、詳しくは各メーカーで確認しましょう。
⑤データ通信制限を解除する
スマートフォンで契約しているプランのデータ容量を使い切ってしまうと、通信速度が大幅に制限され、子機(パソコンやタブレット)もインターネットにアクセスできなくなり、「インターネットなし」と表示される原因になります。
スマートフォンの事業者のマイページでは、データを使い切っているかの確認や、データ容量の追加手続きができます。すぐに通信制限を解除したい場合は、そこからデータ容量を追加することで通信制限を解除しましょう。
データ容量の追加は料金がかかります。テザリングを頻繁に使う方は、今後データ不足に陥らないよう大容量プランへ変更することも検討しましょう。
⑥同時接続台数を減らす
接続台数が原因だった場合は、接続台数を減らし、再度テザリングし直すことで改善される可能性があります。
複数台でテザリングしている場合は、まずは子機(パソコンやタブレット)の中で使っていないものや不要なものをWi-Fi設定から切断して、接続台数を減らしましょう。
その後、テザリングの親機(スマートフォン)を再起動し、再度テザリングをオンにして、テザリングできるか試してください。
⑦機器を再起動する
テザリングで「インターネットなし」と表示されたときは、テザリングの親機(スマートフォン)と子機(パソコンやタブレット)の両方を再起動する方法も効果的です。
システムの一時的な不具合や通信の不安定さが原因の場合、再起動によって問題が解消されることがあります。
機器を長時間使っていると、メモリの消費やソフトウェアの小さなエラーが蓄積し、通信機能に悪影響を及ぼすことがあります。再起動することで、システムがリフレッシュされ、正常な動作を取り戻しやすくなるのです。
⑧機器のOSをアップデートする
テザリングの親機(スマートフォン)と子機(パソコンやタブレット)のOS(オペレーティングシステム)が古い場合には、最新バージョンにアップデートする方法を試してみてください。
OSのアップデートには、機能改善や不具合修正、通信関連の安定化も含まれています。最新の状態にすることで、テザリング機能の不具合が解消されたり、通信トラブルが減ったりするケースが多くあります。
そもそもテザリングの設定自体ができないときの原因とその対処法
「インターネットなし」と表示される以前に、そもそもテザリング設定自体ができないときは、まずその原因を特定し、原因に対する対処法を試しましょう。
テザリング設定できない原因は主に2つ
テザリングの設定自体ができない場合、原因は主に以下の2つに絞られます。
1. テザリングオプションを契約していない
一部の携帯電話キャリアでは、テザリング機能が標準で使えず、オプションとして別途申し込みが必要になります。テザリング機能が標準で使えない携帯電話キャリアの場合は、テザリングオプションを契約してからでないと、スマートフォンからテザリング設定が行えません。
2. 端末の一時的な不具合や故障
スマートフォンのOSや設定の問題で、テザリング設定がうまく表示されない、またはオンにできないこともあります。OSのバージョンが古かったり、ソフトウェアに一時的な不具合があったりすると、テザリング機能が正常に動作しません。また、端末がそもそも故障している可能性もあります。
テザリングオプションを契約する
テザリングオプションは、携帯電話キャリアのマイページやアプリからオンライン上で契約できます。さらに、電話受付や店舗での受付が可能な場合もあります。
テザリングオプションが未契約の場合は、マイページや電話からオプションを契約すると、その後すぐにスマートフォンからテザリングの設定ができるようになります。
機器が故障していないか切り分ける
テザリングの親機(スマートフォン)と子機(パソコンやタブレット)、どちらに問題があるのか切り分ける方法は、以下のとおりです。
- ステップ①:別の端末を用意して、テザリングの親機(スマートフォン)と接続してみる
- ステップ②:家族などのスマートフォンを借りて、そのスマートフォンをテザリングの親機として接続してみる
まずは、テザリングの親機(スマートフォン)を使って、別の端末とは接続できるのか確かめてみましょう。別の端末とは接続できたなら、テザリングの親機(スマートフォン)に問題がなく、端末側に問題があると判断できます。
ステップ①で接続できなかった場合は、ステップ②も試してください。テザリングの親機(スマートフォン)が変わったことで接続できたなら、テザリングの親機(スマートフォン)が原因と判断できます。スマートフォンを借りたときは、返す前にテザリング情報の削除を忘れずにしてください。
このように試すことで、問題がスマートフォン側なのか接続先端末側なのかを、簡単に切り分けることができます。どちらかに原因があった場合は、購入元に連絡して修理の相談をしてみてください。
それでもテザリングできないときの対処法3選
ここまでテザリングで「インターネットなし」と表示されるときの原因と対処法を解説してきました。それでも改善しない場合は、これから紹介する3つの対処法を試してください。
①Bluetooth接続でテザリングを試す
Wi-Fiテザリングでうまく接続できない場合は、Bluetooth接続によるテザリングを試してみるのも有効な方法です。
BluetoothテザリングはWi-Fiと比べて通信速度が遅いですが、Wi-Fi接続に比べてバッテリーを消耗しづらいという利点があります。
Bluetoothテザリングを行う場合は、以下の流れで設定できます。
iPhoneの手順
- 「設定」からBluetoothをONにする
- 「設定」から「インターネット共有」を選択
- 「他の人を許可」をONにする
子機のデバイスでもBluetooth設定を開き、Bluetoothの一覧にある自分のiPhoneを選択します。すると「ペアリングする」という表示がiPhoneと子機デバイスの両方に出るので、どちらもタップして完了です。
Windowsパソコンを子機とする場合には、ペアリングした後に、以下の操作も必要です。
- パソコンのBluetoothマークを右クリック
- 「パーソナルネットワークへ参加」を選ぶ
- 「接続方法」から「アクセスポイント」を選択して完了
Androidの手順
- Android(親機)の「設定」>「ネットワークとインターネット」>「アクセスポイントとテザリング」を選択
- 「Bluetoothテザリング」をオンにする
- 子機デバイスの画面から「Bluetooth」設定へ進み「Bluetooth」をONにする
- 親機のデバイス画面へ戻り、「接続済みの端末」を選択
- 「接続の設定」を選択
- 「新しいデバイスとしてペア設定する」を選択
- 親機の画面に表示された子機のデバイス名を選択
- すると、両方の画面にペアリング要求の画面が表示されるので、両方とも「ペアリングする」をタップする
- 子機のデバイスのBluetooth設定には、デバイス一覧の中に親機のAndroid名が表示されているので選択
8まで進むとペアリングされ、テザリングの設定は完了です。
②USB接続でテザリングを試す
Wi-Fiテザリングがうまくいかない場合は、USBケーブルを使ったテザリングを試すのも効果的な方法です。USBテザリングは、スマートフォンとパソコンを直接ケーブルでつなぐため、安定した高速通信が可能です。
USB接続でテザリングを利用する方法をiPhone・Android別に解説します。
iPhoneの手順
- 親機のiPhoneと子機のパソコンをUSBケーブルでつなぐ
- 「このコンピューターを信頼しますか」が出たら「信頼」を選択
- iPhoneの設定から「インターネット共有」をONにして完了
Windowsパソコンの場合には、事前に「iTunes」をインストールしておく必要があります。
Androidの手順
- 親機のiPhoneと子機のパソコンをUSBケーブルでつないで接続する
- 「設定」>「無線とネットワーク」>「テザリングとポータブルアクセス」>「USBテザリング」をONにする
Androidは、2までで設定完了です。
Wi-FiやBluetoothのように無線通信の影響を受けず、ケーブルで直接通信を行うため、電波干渉や接続切れの心配がありません。また、スマートフォンのバッテリー消費を抑えられるメリットもあります。
③メーカーや購入先に問い合わせる
それでもテザリングができない場合は、端末の製造元であるメーカーや、スマートフォンの購入先に問い合わせましょう。特にハードウェアの故障やソフトウェアの問題が疑われるとき、専門的なサポートを受けることで解決につながることがあります。
メーカーは製品の設計や仕様を熟知しているため、一般的なトラブルシューティングでは分からない問題点も特定できます。また、保証期間内であれば無償修理や交換が可能な場合もあります。
まとめ
テザリングで「インターネットなし」と表示される原因は、多岐にわたります。今回ご紹介した主な原因は、以下の7つです。
- 一定時間が経過したため
- 機器同士の距離が遠い
- 電波状況が悪い
- Wi-Fiのパスワード間違い
- データ通信制限がかかっている
- 同時接続台数の超過
- 一時的なシステムエラー
そして、それぞれに対して有効な対処法は、以下の11個です。
- インターネット共有の再設定
- テザリング元(スマートフォン)の近くで使用する
- 電波状況を確認する
- Wi-Fiとデザインを再設定する
- データ通信制限の解除
- 接続台数を減らす
- 機器の再起動
- 機器のOSアップデート
- Bluetoothテザリングを試す
- USBテザリングを試す
- メーカーや購入元へ問い合わせする
テザリングはとても便利な機能ですが、環境や設定の影響を受けやすいため、トラブルが起きた際は焦らず一つずつ原因を確認し、適切な対処を行うことが大切です。今回の対処法を参考に、快適なテザリング環境を整えてくださいね。
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